通勤で自転車に乗るなら保険は必要?
通勤で自転車を使う場合は、利用頻度に関わらず、万が一に備えた自転車保険への加入を検討しておくとよいでしょう。
通勤での自転車利用で、保険が必要とされる理由としては、以下の3点があげられます。
- 自転車事故の発生状況
- 高額賠償のリスクがある
- 自転車保険加入の義務化が進んでいる
それぞれについて詳しく解説します。
自転車事故の発生状況
自転車事故は決して珍しいものではなく、日常的に発生しています。交通事故発生件数は全体として減少傾向にありますが、自転車関連事故は年間で7万件前後と横ばいで推移している状況です。
また、警視庁が発表した「都内自転車の交通事故発生状況(令和7年中)」の資料によると、全交通事故に占める自転車関連事故件数の構成比や自転車と歩行者の事故件数は、令和3年と比較しても増加傾向にあります。
また、同資料では自転車利用中の交通事故は、時間帯別では主に昼間の時間帯に発生していることが示されています。特に、8〜10時と16〜18時のいわゆる通勤・通学時間帯に多いことが特徴です。
「自分だけは大丈夫」と考えずに、自転車事故を身近なものとして捉える必要があります。
参照:警視庁「都内自転車の交通事故発生状況|自転車の交通人身事故発生状況(令和7年中)」
高額賠償のリスクがある
自転車事故では、自分が被害者になることもあれば加害者になることもあります。自転車は道路交通法上、軽車両とされ、事故が起これば自動車と同じように交通事故として扱われます。
対人事故では被害者に重大な損害を与え、賠償額は約9,000万円となった事例もあるため、「自転車だから大きな事故には至らないだろう」と考えることは危険です。
保険に加入していない状態で事故の加害者となった場合、賠償金は自分の資産から支払うことになります。賠償金の額が高額になれば生活や家計に大きな影響が出るおそれがあるでしょう。
参照:一般社団法人日本損害保険協会「損害保険お役立ち情報|自転車事故と保険」
自転車保険加入の義務化が進んでいる
全国の自治体で自転車保険の加入義務化が進んでいます。
加入義務化が進められている理由としては、被害者の救済と加害者の経済的負担の軽減があげられます。
加害者が自転車保険に未加入の状態で事故を起こして、高額な賠償金の支払いを命じられた場合、加害者の経済状況によっては支払いが困難なことがあります。その場合、被害者は十分な補償を受けられない状態となるでしょう。
こうしたケースを避けるためにも、加入義務化が進んでいます。
なお、自転車保険の加入義務は、その自治体に住んでいる方のみを対象としたものではなく、通勤・通学などでその自治体において自転車に乗る方も対象となります。
関連ページ:「au損保、自転車保険加入率を調査」
関連ページ:「『自転車保険の加入義務化』ってなに?」
自転車通勤に使える保険「自転車保険」のメリット
通勤で自転車を利用する場合の保険加入が必要な理由を解説しました。自転車通勤に使える「自転車保険」に加入する主なメリットは、以下の3つです。
- 損害賠償への備えができる
- 自身のケガにも対応できる
- 家族や親族を補償の対象にできるタイプがある
それぞれについて詳しく解説します。
損害賠償への備えができる
前述のとおり、自分が自転車事故の加害者として死亡事故を起こしたり、相手に重篤な後遺症を負わせてしまったりするリスクがあります。自転車保険に加入しておくことで、万が一、高額な賠償責任を負ってしまった場合にも備えられます。
自身のケガにも対応できる
自転車保険に加入することで、自身のケガに備えられることも大きなメリットです。自転車保険の多くは、個人賠償責任補償と自身のケガに備える傷害保険がセットになっています。
ケガの程度によっては入院や手術が必要になることもあるでしょう。入院が長引くなどした場合には経済的な負担が大きくなることもありますが、入院保険金(日額払い)などでご自身のケガに備えておくと、金銭的な不安の軽減につながります。死亡保険金、後遺障害保険金などが付帯されているプランもあります。
家族や親族を補償の対象にできるタイプがある
自転車保険は一般的に、個人のみを補償する「本人タイプ」と、家族や親族も補償する「家族タイプ」に分かれます。家族の中で自転車を利用する方が複数人いる場合、家族タイプに加入することで保険料を抑えられるケースもあるでしょう。
家族タイプの自転車保険は、契約内容や「誰を補償の対象とするか」という設定に応じて、家族も補償の対象となる場合があります。一般的に、家族の人数が多くても保険料は変わりません。家族に含まれる範囲は、保険会社や保険の種類によって異なるため、加入前に確認が必要です。
au損保の自転車向け保険・家族タイプの場合、家族の人数を問わず補償の対象となります。
自転車通勤に適した保険選びのポイント
自転車保険には多くの種類があるため、何を基準に選べばよいか迷う方がいるかもしれません。自転車通勤に適した保険選びのポイントは、以下の3つです。
- 個人賠償責任補償の金額の上限や補償の内容
- 示談代行サービスの有無
- 自転車ロードサービスの対応
それぞれについて詳しく解説します。
個人賠償責任補償の金額の上限や補償の内容
過去の自転車事故では、1億円近い賠償額を求められたケースがあります。そのため、個人賠償責任補償の金額の上限は必ず確認しましょう。補償金額は1億円以上を目安にすると安心です。
また、自身のケガに備えて傷害保険の補償範囲をチェックしておくことも大切です。ケガによる通院や入院、手術の費用が想定外に膨らむこともあり得ます。保険による補償が受けられれば、家計の負担軽減につながるでしょう。
関連記事:「自転車保険と個人賠償責任保険の違いや、自転車傷害特約について解説」
示談代行サービスの有無
交通事故における示談とは、事故の当事者同士が事故の責任割合や損害賠償額について話し合い、紛争を解決する方法のことです。
自転車保険のなかには、賠償事故の加害者となってしまった場合に保険会社が相手側と解決に向けて交渉する示談代行サービスが付帯されている商品もあります。
万が一の事故の際にも、示談代行サービスを利用できれば安心でしょう。
自転車ロードサービスの対応
自転車ロードサービスとは、自転車を走行中に事故や故障、パンクなどで走行できなくなった際に、現場まで駆けつけてくれる自転車保険の付帯サービスのことです。
au損保の自転車ロードサービスであれば、「タイヤがパンクして走行できなくなった」といった場合であっても、50km以内であれば自転車を自宅や自転車店など希望の場所へ搬送できます。通勤途中で思わぬトラブルが発生した際にも安心できるでしょう。
自転車ロードサービスはすべての自転車保険に付帯しているわけではありません。付帯していても、利用可能な回数や搬送できる距離などに制限があることもあります。事前に内容を確認しましょう。
自転車通勤に対応した保険に関するよくある質問
ここからは、自転車通勤に対応した保険に関するよくある質問として、以下の3点について回答します。
- 通勤時の自転車事故で労災は使えない?
- TSマーク付帯保険じゃ足りない?
- 加入済みの保険などで対応できない?
通勤時の自転車事故で労災は使えない?
通勤中の事故であっても、すべてが労災保険の対象になるとは限りません。たとえば、通勤の途中に業務と関係のない目的で合理的な通勤経路を逸脱した場合は「通勤」とは認められず、自己責任と判断されるケースがあるため、注意が必要です。
また、通勤時の自転車事故で自身が加害者となった場合、被害者に対する補償は労災保険ではカバーできません。通勤で自転車を利用する場合は、労災保険とは別に自転車保険でリスクに備えるべきでしょう。
TSマーク付帯保険じゃ足りない?
TSマークとは、自転車安全整備士が自転車を点検・確認した際に貼付されるマークのことで、TSマークには賠償責任保険と傷害保険などが付帯されています。TSマークには、緑・赤・青の3種類があり、それぞれ補償内容が異なります。
自転車販売店などで手軽に加入できますが、補償の対象となる事故に制限が多く、物損事故は補償の対象とならない点や、補償額も限定的である点に注意が必要です。また、TSマークの有効期間は1年のため、1年後に再度点検を受け、更新する必要があります。
TSマーク付帯保険の利用を継続していたとしても、再度補償内容をチェックしておくとよいでしょう。また、TSマーク付帯保険ではなく、自転車保険への加入も選択肢の1つです。
加入済みの保険などで対応できない?
火災保険・自動車保険などの特約や、クレジットカードの付帯保険で個人賠償責任保険が付いているケースがあります。ただし、補償範囲や通勤時は対象かどうかの確認が必須です。
前述のとおり、自転車事故による損害賠償金は高額になるケースがあるため、十分な補償が必要です。「特約が付いているから安心」と思い込まず、補償範囲や補償対象を必ず確認しましょう。
自転車通勤の開始前に保険の確認をしよう
自転車通勤をする際の保険加入の必要性や加入のメリット、自転車保険の選び方について解説しました。
自転車は手軽に利用できる便利な乗り物ですが、相手をケガさせてしまったり自身がケガをしてしまったりするリスクがあります。事故のリスクがあることを前提に、万が一の場合に備えておくことが大切です。
自転車保険を選ぶ際は、補償内容や付帯サービスの有無をよく確認しましょう。
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