自転車保険に入っていない方が知っておきたい現状
自転車は身近な乗り物ですが、万が一の事故で、自身が加害者となったり、ケガを負ったりする可能性もあります。こうしたリスクに備えるのが自転車保険です。
ここでは、自転車保険に入っていない方に向けて、いま知っておくべき現状についてお伝えします。
自転車事故の発生件数
警察庁によると、交通事故全体の件数は減少傾向にありますが、自転車が関係する事故は年間約7万件前後で、直近の5年間では横ばい、またはごくわずかな減少にとどまっている状況です。その結果、交通事故全体に占める自転車事故の割合は約22〜24%となっています。
自転車対自動車の事故の発生件数は減少傾向にありますが、自転車対歩行者の事故は、平成28年から令和6年にかけて増加傾向にあります。
令和7年の自転車乗用中に起きた死亡・重傷事故のうち、約75%の事故が自転車側にも法令違反があったとされています。こういった状況を背景として、自転車事故のリスクが身近なものとして認識されつつあります。
自転車保険への加入義務化が進んでいる
近年、自転車保険への加入を義務化または努力義務としている自治体が増加しており、2026年3月現在、約7割の地域で義務化が進んでいる状況です。
2025年度にau損保が行った調査では、自転車保険への加入率は全国で64.2%となっています。しかし、義務化している地域では66.4%なのに対して、義務化されていない地域では47.6%と義務化地域との差が大きいのが現状です。
なお、自転車保険への加入義務化の目的は、単に取り締まりではなく、万が一事故が起きたときに、被害者・加害者の双方が適切な補償を受けられる環境を整えることにあります。この目的を自転車に乗るすべての方が十分に認識する必要があるでしょう。
関連ページ:「au損保、自転車保険加入率を調査」
自転車保険に入っていない場合の3つのリスク
自転車保険に入っていない状態で事故が起きた場合、日常生活を一変させる深刻な事態を招く可能性があります。
とくに、自身が加害者となった際には、相手方への適切な対応が求められます。
ここでは、自転車保険に入っていない場合の3つのリスクについて、詳しく解説していきます。
高額損害賠償の発生
自転車事故で加害者になった場合、高額な損害賠償金を支払わなければならないケースもあるでしょう。自転車は道路交通法上の「軽車両」にあたり、事故を起こした場合は、自動車と同様に報告義務や救護義務が生じ、民事・刑事上の責任を問われる可能性があります。
歩行者が相手となる自転車事故では、ケガの程度が重くなりやすく、場合によっては重傷に至ることもあります。その場合、数百万〜数千万円単位の損害賠償が発生する可能性もあるでしょう。
自転車保険に入っていなければ、これらの費用は自己負担となる可能性があり、経済的な負担が大きくなるおそれがあります。
加害者になった際の対応責任
自転車事故で自身が加害者となった場合、負傷者の救護や警察への連絡はもちろんのこと、被害者への誠意のある対応が求められます。
自転車保険に加入していない場合、被害者や相手方の弁護士とのやり取り、損害額に関する確認、示談交渉などを自身で行わなければならないケースもあります。解決までに時間がかかることもあるでしょう。
万が一の事故が起きた際も、適切に被害者の方への対応責任を果たすためにも、示談代行サービスが付帯されている自転車保険への加入を検討しておくことが重要です。
被害者への十分な補償ができないリスク
前述したように、自転車事故により高額な損害賠償金が発生した場合に、もし自身の資金が不足していれば被害者に対して十分な補償ができないという深刻な事態を招く可能性があります。
自動車には自賠責保険という強制加入の保険がありますが、自転車にはそうした制度がありません。そのため、自転車保険に加入していない場合、被害者が必要な補償を受けられないおそれがあります。
また、未成年者が事故を起こした場合、保護者が監督責任を問われることもあります。子どもが日常的に自転車を利用している家庭では、家族全体の備えとして、自転車事故への補償を確認しておくことが大切です。
自転車での加害事故3例
自転車事故には自損や軽微なアクシデントだけではなく、他人を巻き込む重大な事故もあります。1回の事故が、自身や相手の人生を大きく左右する可能性も否定できません。
ここでは、過去に起きた自転車での加害事故を3例ご紹介します。事故は誰にでも起こり得るものであることを認識するためにお役立てください。
子どもの自転車事故
男子小学生(当時11歳)が夜間、帰宅するために自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路で歩行中の女性(当時62歳)と正面衝突する事故が発生。女性は頭がい骨骨折などの傷害を負い、意識が戻らない状態になってしまいました。
この事故により判決認容額として9,521万円の支払いを命じられました。
「夜間」「歩道と車道の区別のない道路」という自転車走行にありがちなシーンにおいても、自転車事故が起こり得る例の1つとして捉えましょう。
参照:一般社団法人日本損害保険協会「損害保険お役立ち情報|自転車事故と保険」
夜間の自転車事故
男子高校生が夜間、イヤホンで音楽を聴きながら無灯火で自転車を運転していたところ、パトカーに追跡されて逃走し、職務質問中の警察官(当時25歳)と衝突する事故が発生。警察官は頭がい骨骨折などの重傷を負い、約2カ月後に死亡してしまいました。
この事故において命じられた判決認容額は9,330万円と、やはり1億円近い金額となっています。
この事例では、夜間走行という状況だけでなく、「無灯火」「イヤホン使用」といった自転車走行のルール違反も行われています。自転車走行のルールを守らなかったことも、重大な事故につながった要因といえるでしょう。
参照:一般社団法人日本損害保険協会「損害保険お役立ち情報|自転車事故と保険」
自転車同士の事故
男子高校生が日中、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(当時24歳)と衝突する事故が発生。この事故により、男性会社員には言語機能の喪失などの重大な後遺障害が残り、判決認容額は9,266万円となりました。
自転車同士の事故ですが、歩道から車道を斜めに横断した行為が危険と判断され、横断した側の過失が重く認定されたケースです。
自転車保険に入っていない場合にいますぐできる対応
自転車保険に入っていない方がいますぐできる対応として、以下の2つをご紹介します。
- 加入済み保険の付帯サービス確認
- 自転車保険への加入を検討
1つずつ詳細を見ていきましょう。
加入済み保険の付帯サービス確認
まずは、すでに契約中の自転車保険以外の保険商品に「個人賠償責任補償特約」が付帯されていないか確認しましょう。
個人賠償責任補償特約は、以下の保険商品に付帯していることがあります。
- 自動車保険:特約として付帯しているケースがある
- 火災保険:日常生活の賠償を補償する特約が含まれていることがある
- クレジットカード:自動付帯として個人賠償責任補償が付いている場合がある
- 共済・団体保険:県民共済や職場の団体保険に特約が用意されていることがある
ただし、個人賠償責任補償特約が付帯されていたとしても、補償を受ける対象の方や補償額について内容を確認することが大切です。
また、相手への賠償だけでなく、ご自身のケガへの備えも確認しておきましょう。
傷害保険で、自転車事故による入院・通院が補償される場合があります。
「通院のみでも補償されるか」「補償額は十分か」などもあわせて確認することが大切です。
関連記事:「自転車保険に入っているかわからない?確認方法や未加入時のリスクを解説」
自転車保険への加入を検討
すでに契約中の保険商品の補償状況を確認した結果、個人賠償責任補償が付帯していない、または付帯していても補償額や補償範囲が十分でないといった場合は、自転車保険の加入を検討しましょう。
自転車保険は、一般的には自転車走行中の「自分のケガへの備え(傷害保険)」と「相手への損害賠償への備え(個人賠償責任保険)」がセットになっている保険のことを指します。また、被害者との示談代行サービスが付帯されている商品もあります。
保険料は月々数百円程度から加入できるものもあり、たとえばau損保の自転車向け保険であれば、月々340円から加入可能です。
保険料と補償内容のバランスを考慮しながら、どの商品にするかを検討することをおすすめします。
自転車保険はネットからも加入可能
自転車保険は、インターネットから手軽に加入できる商品もあります。店舗へ行ったり書類を郵送したりする必要がないケースが多く、スマートフォンやPCから補償内容を確認し、そのまま申込みまで完結できます。
保険会社によっては、補償内容や保険料を画面上で比較しながら選べるため、自身の利用状況や家族構成に合ったプランを検討しやすい点もメリットです。
自転車事故への備えが十分でないと感じた場合は、まずはインターネットから自転車保険の補償内容などを確認してみることが、安心への第一歩となります。
自転車保険に入っていない方は、万が一への備えを見直そう
自転車を利用する方であれば誰しも加害者となる可能性があり、数千万円といった高額な賠償責任を負うリスクがあります。
条例により、自転車保険への加入を義務付けたり努力義務としたりする自治体の動きが広がっています。こうした動きも踏まえ、自転車事故に備える意識が大切です。
すでに加入中の保険商品に「個人賠償責任補償特約」が付いているか、また、補償額は十分かを確認し、不十分であれば自転車保険への加入を検討することをおすすめします。
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