この記事の監修者

石川愛美さん
獣医師。日本獣医生命科学大学獣医学部を卒業後、都内動物病院に臨床獣医師として勤務。現在は、動物病院を開設し、近隣への往診やオンラインにて飼い主の相談に答えたり、コンサルタントとして新規事業立ち上げの際、インタビューを受けるほか、記事執筆等を行う。

猫の去勢は必要?
ほとんどのオス猫は生後6〜12カ月頃に成猫となり繁殖が可能になります。成猫(生後6か月以上)になったオスの行動は活発になる事が多く、脱走やマーキングなどの発情行動が盛んになります。
去勢手術はこのような発情行動を減らすのに有効な場合があります。また、猫は交尾をすることで排卵を促す「交尾排卵」という妊娠形態を持つ動物なため、交尾を行うとほぼ確実に妊娠します。望まない妊娠を防ぐためにも、去勢手術は効果的といえるでしょう。
猫の去勢に関してよくある不安
オス猫の去勢手術を検討する際によくある不安材料を2点ご紹介します。
- 去勢手術を行うと猫の性格が変わるって聞いたけど本当?
- 去勢手術で亡くなってしまうケースってあるの?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
去勢手術を行うと猫の性格が変わるって聞いたけど本当?
去勢手術を行うと成長ホルモンが分泌されなくなり、男性ホルモンの分泌量が減少します。そのため、攻撃性が和らぎ、甘えん坊になることがあります。
また、発情による脱走やマーキングなどの問題行動がなくなることもあります。しかし、性格の変化には個体差が大きいため、術前と術後で何も変化のない可能性もあります。
去勢手術で亡くなってしまうケースってあるの?
去勢手術は、先天性の疾患がない若くて元気な成猫に行う場合、比較的安全性の高い手術です。しかし、全身麻酔下での手術のため全くリスクが無いというわけではありません。特に持病のある猫の場合は、麻酔によるリスクについてよく確認しましょう。
元気そうに見えても病気が隠れている可能性があるため、去勢手術の前には血液検査やレントゲン検査など術前検査を行うとより安心です。
猫の去勢にかかる費用
オス猫の去勢手術にかかる費用については、動物病院ごとに違いがあります。去勢手術の手術費用の他に、下記費用がかかる場合があります。
- 停留睾丸に関する検査
- 血液検査
- 麻酔代
- お薬代
- 手術後の診察費
- 抜糸代
- エリザベスカラー(傷なめ防止)のレンタル代
費用の幅としては、16,000円~30,000円の場合が多いですが、実際の料金はかかりつけの動物病院に確認しましょう。
自治体によっては猫の去勢手術を行う際に助成金がでるケースもあります。>去勢することが決まったら、住んでいる地域で助成金や補助金が支給されるか確認しましょう。
猫の去勢を行うのに適切なタイミング
去勢手術は、オス猫が発情時のマーキング行動を覚える前に行いましょう。多くの動物病院では、生後6~7カ月に去勢手術を行うことを推奨しています。
健康に問題なく成長し、生後6~7カ月を迎える頃には、骨格も大きくなり、去勢手術をしても問題のない体になっていることが一般的です。しかし、成長スピードは猫によってそれぞれ異なるため、事前に獣医師に相談しましょう。
猫を迎えたら、まず健康診断のために動物病院へ行くことが多いため、その時に去勢についての話も聞いてみましょう。
猫に去勢をするメリット
去勢手術を行うと、オス猫の発情行動を抑えることが期待できます。これにより、マーキング行動や発情中のストレスが減少するといったメリットがあります。
さらに、去勢をすることでオス特有の生殖器(主に精巣)に関する病気を予防することができます。去勢することのメリットを詳しく見ていきましょう。
マーキング行動を減らすことができる
多くの飼い主が、オス猫を飼う上で頭を悩ませるのが、家のあちらこちらにマーキング行動として尿を吹きかけてしまうことではないでしょうか。家の中だけでオス猫を飼っている場合でも、外のメス猫の泣き声でマーキング行動をしてしまうことがありますが、去勢をすればこれを減らすことができます。
去勢をしていないオス猫の尿は、自分の強さをアピールできるよう強いニオイを放ちます。特に賃貸の部屋で猫を飼う場合は、去勢を検討したほうがいいかもしれません。
発情中のストレスを減らせる
オス猫は、メス猫の発情した声に感化されて大きな声を出したり、外が気になって脱走したりしようとすることがあります。家の中で飼っていると、どうしてもメス猫と出会うことができないのでストレスが溜まりがちです。
しかし、去勢をすることでそのストレスを緩和させることができます。さらに、オス猫は発情してしまうと縄張り意識から攻撃的な性格になることもあります。
発情しているオス猫は、飼い主や同居している猫に対して怒りっぽくなりがちですが、去勢をすることで性格が穏やかに変化することがあります。
病気を予防できる
去勢手術は前立腺の病気や精巣の腫瘍への予防になります。また外に出る猫の場合、交尾をしなくなるため、交尾による猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症などの病気にかかるリスクも減少します。
※猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症は交尾以外(喧嘩やグルーミング、同じ食器を使うなど)でも感染します。
精巣の腫瘍は高齢な猫が発症してしまった場合、体に負担のかかる手術を行わなければいけません。そのため、先々のことを考えて猫に去勢手術をする飼い主もいます。
望まない妊娠を予防できる
去勢手術を行うことで、望まない妊娠を予防できるというメリットもあります。特に室外に出る猫の場合は、知らない間にメス猫と交尾をしてしまう可能性もあります。
相手のメス猫が出産しても、それを知らなかったり、育てられない可能性が高いでしょう。責任が持てない妊娠を防ぎ、野良猫を増やさないためにも去勢手術は効果的です。
猫に去勢をするデメリット
猫の去勢を検討するなら、メリットはもちろんデメリットも把握しておきましょう。こちらでは去勢手術におけるデメリットをまとめました。
猫の去勢は、全身麻酔下で手術を行うということで、家族の同意がなければできないという動物病院も数多く存在します。メリット、デメリットのどちらも踏まえた上で、家族で去勢手術を行うか検討してみましょう。
赤ちゃんが欲しくてもできない
去勢をした後に「やっぱり子猫が欲しい!」と考えても、その望みを叶えることはできません。飼い猫の赤ちゃんを育てたいと少しでも考えているなら、いま一度去勢をするべきか検討してみたほうがいいでしょう。
もし悩んでいるなら、猫の去勢を行わなかった飼い主の話を聞いてみてもいいかもしれません。SNSなどでも情報を集めることができるので、積極的に調べてみてください。
体重が増加しやすい
去勢手術をするとホルモンバランスの影響で、去勢前と同じ種類や量のキャットフードを与えていても体重が増加してしまうリスクがあります。
単純にキャットフードの量を少なくするのも1つの手ですが、猫用の低カロリー食を導入したり、遊びの時間を増やしたりするなどの工夫をして、体重管理をしましょう。
全身麻酔のリスク
猫の去勢は全身麻酔で行います。年齢や体調によってはリスクを伴いますが、術前検査で問題がなければ過剰に心配する必要はないでしょう。
去勢手術の時間は数十分ほどなので、猫に負担がかかりすぎることはありません。全身麻酔が心配な場合は、獣医師とよく相談してから去勢手術を行うか決めることをおすすめします。
猫の去勢手術後に気を付けること
猫の去勢手術が終わったら、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。特に、初めて猫を飼う場合はどうすればよいのか、不安になることも多いと思います。
猫の去勢手術後に気を付けるべきことを見ていきましょう。
エリザベスカラーをして安静にする
去勢手術後は、猫が傷口を舐めないようにエリマキのようなエリザベスカラーという装具を首に装着することがあります。ただ、身に着けることでストレスを感じてしまう猫には、飼い主が見てあげられる時間帯だけは外してあげるのもいいかもしれません。
どうしてもエリザベスカラーを嫌がる場合は、市販されている柔らかい布製のカラーや傷口を保護するための術後服を検討してみましょう。多頭飼いをしていると他の猫が傷口を舐めることもあるので、その時は手術した猫を隔離するようにしましょう。
食事は徐々に与えていく
術前・術後は一定の時間、絶食が必要になるので、空腹の時間が長くなります。そのため、術後すぐにたくさんのキャットフードを口にすると嘔吐してしまうことがあります。
猫の様子を見ながら少しずつ与えましょう。また、水も舐める程度から与え、むせたり吐いたりがなければ、徐々に水を飲ませる量を増やしていきましょう。
術後の食事は獣医師からの指示に従えば問題ありません。食欲不振等、普段と違う様子が見られた場合は、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
猫の体調をしっかり観察する
猫は去勢手術のストレスで嘔吐や下痢を起こすことがあります。さらに、術後に処方された薬が合わない場合も同様の症状が見られるので、注意が必要です。
去勢手術後、猫の様子が普段と違うと感じた場合は、迷わず動物病院を受診しましょう。猫の体調を飼い主が観察するためにも、体調が安定するまでは遠出やペットホテルに預けることは避けましょう。
猫が去勢するメリット・デメリットを押さえておこう
猫の去勢手術を検討するなら、まずメリットとデメリットのどちらも押さえておくことが大切です。猫と飼い主のどちらにとっても良い、と家族で納得した上で、去勢手術を受けさせましょう
子猫の頃に手術を受けることで心配になる方もいるかもしれませんが、術前検査で問題なければ過度な心配をする必要はありません。何か気になることがあれば、まずかかりつけの動物病院を受診しましょう。
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