犬のワクチン・予防接種は必須? 種類や費用、接種スケジュールなど徹底解説

犬を飼う場合、飼い主は愛犬にワクチン・予防接種を受けさせる必要があります。

本記事では、なぜ犬にワクチン・予防接種が必要なのか、どのような種類のワクチンを接種する必要があるのかを解説します。適切な接種スケジュールや費用、副反応のリスクなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

アイキャッチ画像

この記事の監修者

志村みゆきさん

志村みゆきさん

獣医師。日本獣医生命科学大学獣医畜産学部獣医学科を卒業後、獣医療、営業、編集者、研究助手、専業主婦などを経て、現在、医大の研究室にて動物実験や生化学実験業務に従事。

志村みゆきさん

犬のワクチン・予防接種が必要な理由

犬は生涯の中でさまざまな感染症にかかる可能性があり、中には命に関わるものもあります。そういった感染症から愛犬を守ることはもちろん、愛犬から他の犬への感染や、愛犬から人間への感染を予防するためにワクチンを接種します。

ワクチンによって、ウイルスや細菌などの病原体から体を守る抗体を作ることができるようになり、感染症の予防、またもし感染症にかかってしまったとしても症状を軽減させる効果が期待できます。

犬のワクチン・予防接種の種類

犬が接種するワクチンには、飼い主の義務として必ず接種させる「狂犬病ワクチン」と、飼い主の判断で接種させるコアワクチン・ノンコアワクチンなどの「混合ワクチン」があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

狂犬病ワクチン

狂犬病ワクチンとは、人畜共通感染症である狂犬病を予防するためのワクチンです。

狂犬病は、発症するとほぼ100%の確率で命を落とすといわれる非常に危険な病気です。現在、日本では狂犬病は清浄化したとされていますが、海外から狂犬病ウイルスが侵入する可能性は拭えません。2006年にはフィリピン滞在中に狂犬病の犬に噛まれた人が、帰国後発症する事例がありました。

狂犬病を日本で発症させないためには愛犬に狂犬病ワクチンを接種することが大切です。日本では、狂犬病ワクチンの接種は厚生労働省が定める狂犬病予防法により、全犬に義務付けられています。

狂犬病ワクチンの接種を怠った場合は20万円以下の罰金が科せられる場合もあるため、必ず年1回の狂犬病ワクチン接種を行いましょう。

狂犬病とは

狂犬病とは狂犬病ウイルスに感染した犬などの動物の唾液や血液が体内に侵入することで感染する病気です。狂犬病に感染すると1週間から1年以上(平均1カ月)の潜伏期間を経てから発症することが多いとされています。

狂犬病の発症経過は、前駆期、高奮期、麻痺期の3期に分けられます。狂犬病を発症した場合、初期症状として、性格と行動の変化が現れます。急に気性が荒くなり噛みつくといった行動に出たり、人を避けるようになったり、逆に人に近づいたりといった変化です。この前駆期では、一過性の発熱や憂鬱・倦怠・遠吠え・瞳孔散大・かゆみなどがみられます。

その後、興奮期には、興奮状態・異食・ほえ声の変化・光や音への過敏な反応・嚥下困難などが見られます。

最後の麻痺期には、全身の麻痺による歩行困難やよだれを流すなどがあり、最終的には昏睡状態となり命を落としてしまいます。

混合ワクチン

混合ワクチンとは、接種することでコアワクチンとノンコアワクチン対象の複数の病気を予防することができるワクチンです。コアワクチンとノンコアワクチンの詳細については本見出し内下部で解説します。

コアワクチンとノンコアワクチンは、この混合ワクチンでまとめて摂取することが一般的です。予防できる病気の数は混合ワクチンの種類によって異なりますが、一般的には2~8種を予防できる混合ワクチンが多いです。

散歩することが少ないシニア犬やアレルギー反応が心配な犬は6種混合ワクチン、川やキャンプなどに出かける可能性がある犬や、他の動物と接触がある犬は8種または10種の混合ワクチンが推奨されています。

犬の生活スタイル 推奨する混合ワクチンの種類
散歩が少ないシニア犬 アレルギー反応が心配な犬 6種混合ワクチン
川やキャンプなどに出かける犬 他の動物と接触が多い犬 8種または10種の混合ワクチン

ワクチン接種は、健康状態が良好な成犬であれば毎年接種を行っても特に問題ありません。しかし、アレルギー体質の犬や持病のある犬、シニア犬は、ワクチンによるアレルギーや副作用、アナフィラキシーショックといったリスクが伴います。

ワクチン接種でのリスクが心配な場合は、必要に応じてワクチンを接種する前に抗体があるかどうかを調べるのもいいでしょう。抗体検査は動物病院での血液検査で行うことが可能なため、かかりつけの動物病院へ相談しましょう。

コアワクチン

コアワクチンは、犬ジステンパーウイルスや犬パルボウイルス、犬アデノウイルス(犬伝染性肝炎)などの病気を予防することができるワクチンです。これらの病気は人の健康にも被害を及ぼす可能性のある人畜共通感染症の中でも致死率の高いウイルス伝染病です。そのため、すべての犬に接種するよう勧告されています。

コアワクチンは世界小動物獣医師会(WSAVA)の発表したガイドラインにより、3年に1回の接種が推奨されていますが、日本では1年に1回接種することが一般的です。

ノンコアワクチン

ノンコアワクチンは、犬パラインフルエンザウイルス感染症や犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ症、犬伝染性気管支炎などの病気を予防することができるワクチンです。これらの病気も重症化すると命を落とす危険性のある怖い病気ではありますが、地域や飼育環境によって発症率が異なります。一般的にコアワクチンで予防可能な病気に比べると危険性は低いとされています。

ノンコアワクチンは主に病原体を殺菌し感染性のない状態で投与する不活化ワクチンのタイプが多く、体への負担は少ないと言われています。コアワクチンの主体である生ワクチンと比較すると効果が長持ちしないため、1年に1度の接種が推奨されています。

犬のワクチン・予防接種の費用

狂犬病ワクチン、混合ワクチンのそれぞれの費用について解説します。コアワクチンとノンコアワクチンの費用については、混合ワクチンの接種で予防できるため、混合ワクチンの費用の項目を参考にしてください。

ただし、動物病院ごとに料金設定は異なるため、実際にワクチン接種を受ける前によく確認しましょう。

狂犬病ワクチンの費用

狂犬病ワクチンは、毎年4~6月に行われる自治体による集団接種で受けるか、動物病院で受けるかの2つの方法があります。

集団接種だと3,000円前後のワクチン接種代に加えて、接種を受けた証明となる「狂犬病予防注射済票」交付の手数料550円が発生します。

接種方法 費用
自治体による集団接種 3,000円前後 (接種費用) + 550円 (「狂犬病予防注射済票」交付手数料)
動物病院 3,000~4,000円

動物病院で受ける場合は、集団接種と同程度か、少し高額になるケースがあります。

混合ワクチンの費用

混合ワクチンの場合、予防する病気に応じて何種混合のワクチンかによって費用は変わりますが、大体1回で5,000円~10,000円程度が目安になります。

ちなみに、犬のワクチン・予防接種はペット保険の補償対象外になっているため注意しましょう。

犬のワクチン・予防接種の適切なスケジュール

犬のワクチンの適切なスケジュールは接種するワクチンによって異なります。ここでは、狂犬病ワクチンと混合ワクチンの適切な接種スケジュールをご紹介します。

コアワクチンとノンコアワクチンの適切なスケジュールは混合ワクチンのスケジュールを参考にしてください。

狂犬病ワクチンの適切なスケジュール

狂犬病の予防接種は、生まれた日を0日目として、生後91日に1回目を接種することが推奨されています。その後は、毎年1回の追加接種が必要になります。

混合ワクチンの適切なスケジュール

混合ワクチンは、ほとんどの場合3回から4回の接種になります。

1回目は、生後6〜8週頃が目安です。生後間もない子犬は母犬から譲り受けた抗体で守られており、抗体が残っているうちはワクチンによる免疫獲得が十分に得られません。そのため、生後6〜8週頃が目安となっています。

その後は3、4週間ごとに接種を繰り返し、16週齢頃には3回目の接種を行うように調整する動物病院が多いです。

4回目以降のブースター接種は6カ月から1歳齢までに行い、それ以降は必要に応じて1〜3年ごとに接種していきます。

犬のワクチン・予防接種の副反応リスク

愛犬の健康のために検討したいワクチンですが、副反応のリスクもあります。以下は、接種後24時間以内に発生する可能性がある副反応です。

副反応には、例えば1、2回吐く程度でその他の症状がなく、自宅での経過観察で問題ないものもあります。一方、吐いた後にぐったりしていて元気がないなど、すぐ動物病院へ行くべき症状もあります。

また、代表的なアレルギー反応として接種してから数時間から数日以内に、顔が腫れることがあります。ムーンフェイスと呼ばれており、口や目のまわりなどに強い腫れが出るため不安を感じるかもしれませんが、基本的に命に関わる副反応ではないといわれています。

もちろん、油断はせずにワクチン接種後は獣医師からの指示を守って過ごすことが大切です。ワクチンを接種してから数時間は、一緒にいて異常がないか観察するようにしましょう。ワクチン接種はなるべく午前中の早い時間に行い、異変があればすぐ動物病院を受診できるようにしておくと安心です。

また、どのような症状が出た場合に動物病院へ行くのかも、事前にしっかり確認しておきましょう。

特に注意が必要な副反応

確率は低いとされているものの、ワクチン接種後の副反応で重篤なものとして、アナフィラキシーショックが挙げられます。

アナフィラキシーショックは免疫がワクチン接種後に過剰に反応することで出るアレルギー反応で、接種後30分以内に起こる可能性があります。

呼吸や心拍の停止、けいれんを起こしたり血圧が急降下して呼吸や心臓が停止してしまったり、意識を失ったりするなど、生死に関わることがあり、注意が必要な副反応です。そのため、動物病院ではワクチン接種後に院内でしばらく様子を見るように指示されるケースが多いです。

愛犬に適切なワクチン・予防接種を受けさせよう

犬には必ず接種する必要があるワクチン・予防接種のほか、飼い主の判断で接種するものがあります。狂犬病以外でも、ワクチン・予防接種をしていないと入れないドッグランやペットホテルもあるため注意しましょう。

また、愛犬の体質や年齢によって適切なワクチンの種類やスケジュールは異なるので、獣医師と相談しながら決めることが大切です。愛犬の小さな体調の変化に気付くためにも、予防接種とあわせて定期的な健康診断や日々の健康チェックなどを行いましょう。

au損保のペットの保険なら、24時間365日無料で獣医師に電話相談が可能

「au損保のペットの保険」なら、24時間365日いつでも獣医師への電話相談が無料で行えます。※1

フードやしつけなどの日常の悩み、動物病院に連れて行くべきかの判断など、ペットについて困った時にご活用いただけます。
※1:通話料はお客さま負担です。

獣医師に電話相談イメージ

ペット保険ならau損保

犬や猫を飼い始めた方、ペット保険の切り替えをお考えの方はau損保のペットの保険はいかがでしょうか?

「au損保のペットの保険」が選ばれる5つのポイント

「au損保のペットの保険」なら、月々830円~のお手ごろ価格で家計に優しく※3、お支払い限度額までなら保険期間中の保険金支払いは回数無制限で、1回あたりの限度額はございません。

保険金のお支払いは、獣医師が監修し、対応満足度も96.3%※2と、多くの方に満足いただいております。

また、保険金の請求に関してもWEB上や電話に加え、スマホアプリからも行えます。 スマホアプリの場合は、面倒な紙の請求書の記入・郵送は不要です。そして、大切な家族(ペット)の健康やしつけ、お困りごとなどを24時間365日獣医師に電話相談できます。相談料は無料です。※1

ぜひau損保のペットの保険をご検討ください。

※1:通話料はお客さま負担です。
※2:2020年4月から9月までの6か月間、保険金をお受け取りいただいたお客さまを対象にアンケートを実施。アンケート回答件数214件中「満足した」「どちらかというと満足した」を集計
※3:※猫2歳/通院なしタイプ/50%コースの場合

犬の保険を
ご検討中の方

お悩み解決! ワンちゃんとの暮らしに
役立つコラム

飼い主の方のよくあるお悩みの
解決方法などを多数掲載しています

    N21C310198(2112)