犬のしつけ方法を原因別に解説!吠えたり、噛んだりする際の対処法は?

新しく犬を飼うことが決まっている方や、すでに犬と一緒に暮らしている方の中には、「しつけの仕方がよく分からない」「うまくしつけができているか不安」などの悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、犬との暮らしをより豊かにするために必要な「しつけ」のポイントや注意点についてご紹介いたします。

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犬のしつけとは

犬のしつけとは、愛犬が人間社会に上手く順応し、快適に生活していくための基本的なルールを教えてあげることです。しつけをきちんと行うことで、犬も人間もストレスなく暮らすことができるでしょう。
しかし同時に、しつけは犬を飼う上で多くの方が悩むポイントでもあります。飼い主が行うしつけの方法が曖昧であれば犬も戸惑い、間違った方法でしつけを行ってしまうと犬もストレスを抱えてしまうなど、上手く行かない場合もあります。
過度に窮屈なルールで縛り付けると犬にストレスがかかり、問題行動を引き起こすことになりかねないので、しつけをする際は十分注意しましょう。

犬のしつけはいつから始めるべき?

犬のしつけは3週齢から14週齢までの「社会化期」に始めるといいでしょう。 社会化期の子犬は、まだ警戒心や恐怖心があまりなく、あらゆる刺激を柔軟に受け入れることができます。 そのため、この時期にしつけを行うと、うまく順応してくれることが多いと言われています。
ペットショップなどで犬を購入する場合、8週齢以上の犬がほとんどです。ペットショップから迎えた犬が新しい環境に慣れたら、早めにしつけを行うとよいでしょう。
シェルターなどの保護施設から犬を迎える場合は、犬が新しい環境になれた後に、しつけを開始しましょう。

犬のしつけを行う前にやっておきたいこと|ポイントと注意点

実際に犬のしつけを始めるにあたって、気をつけるべきポイントや注意点がいくつかあります。ここでは特に重要な2点をご紹介します。

アイコンタクトが取れるようにしよう

アイコンタクトは、犬とのきずなを深めるうえで大切な最初のステップです。 まずはしつけの前段階としてアイコンタクトの練習を行うといいでしょう。

アイコンタクトのポイントと注意点

愛犬の名前を呼び、目が合ったらすぐに褒め、ご褒美をあげましょう。
上記を何度も繰り返すことで、「飼い主と目を合わせると良いことがある」と犬は記憶します。そうすることで、ご褒美を毎回あげなくても愛犬とアイコンタクトが取れるようになります。

人に触られることに慣れさせよう

犬にとって、人に触られることに対して抵抗が無い状態であることは、人間社会で生きていくにあたってとても大切なことです。 トリミングへ連れて行ったときや、万が一、犬が病気になった時に動物病院で適切な検査・治療を受けるためにも、人に触られるのに慣れさせておくことは非常に重要と言えるでしょう。

愛犬に触れる際のポイントと注意点

やさしく体をなでてコミュニケーションを取ることを心がけましょう。 なでたり、体を触ったりして、愛犬が心地よさそうにしているときにご褒美を与えると、より効果的です。
また、しつけの段階で口周りや足先に触られることに慣れさせることで、歯磨きや爪切りなどをスムーズに行うことも可能です。 ですが、口周りは犬にとって非常に敏感な部分であるため、触るときはやさしく触りましょう。

しつけを行う際に大切なのは、できたら褒めること

犬のしつけには、「◯◯をすると良いことがある」と学習させることがとても大切です。 指示したことができた直後に褒めることで、犬の脳内で条件付けが成立し、記憶に定着します。
指示したことができなくても決して叱ったり体罰を与えたりせず、うまくできた時に精一杯褒めてあげましょう。しつけが犬と人間の双方にとって楽しく効果的なものになります。

しつけの種類と方法

一言にしつけと言っても、場面や状況によって適切なしつけの種類や方法は異なります。「このような場面・状況において、自分のしつけの方法は正しいのだろうか?」と疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

犬のしつけをする上で避けては通れないのが下記の4つです。

4つのしつけ方法について、コツや注意点などをご紹介します。

トイレのしつけ

犬のトイレの基本的なしつけ方法は以下の3ステップの手順に分けられます。

この3ステップを繰り返し行うことで、愛犬にトイレのしつけを効率的に行うことができます。それぞれのステップについて、さらに詳しく解説します。

①トイレをしたい行動が見られたら、トイレに連れていく

犬はある程度決まったタイミングでトイレをします。 ご飯を食べた後や水を飲んだ後、運動の後、起床してすぐなどは犬がトイレをしやすいタイミングです。
また、犬はトイレをする時に「地面のニオイを頻繁に嗅ぐ」「ソワソワと落ち着きがなくなる」といった行動をします。 これらの行動が見られたらトイレに連れていってあげましょう。

②正しい場所でトイレを始めたら、横で静かに声をかける

正しい場所でトイレを始めたら、やさしい声で「ワンツーワンツー」などの掛け声をかけてあげましょう。 決められた掛け声を使い続けることで、犬は掛け声を耳にすると、「トイレをする時間だ!」と認識してくれます。トイレをするペースを作るためにも、掛け声は効果的と言えます。
その際には、掛け声の大きさには注意しましょう。大きい声を出すと、驚いてトイレをやめてしまうこともあります。 愛犬がトイレを始めたら、やさしい口調で掛け声をかけながら、横で見守ってあげましょう。
失敗した際に叱るのは絶対にNGです。怒られたことがトラウマになって、飼い主が見ている時にトイレをしてくれなくなってしまいます。
※愛犬の性格によっては、トイレ中に声をかけることで、途中でやめてしまう場合もあります。このような場合には、無理に声をかけるのは控えましょう。

③上手にトイレができたらすぐ褒める

トイレが終わったら、十分に褒めておやつをあげましょう。これを繰り返すことで、トイレの場所を覚えてくれます。 万が一、飼い主の不在時にトイレを失敗してしまったとしても、決して叱ってはいけません。
犬は人間ほど長期記憶が得意ではないので、自分がおしっこをしたことも覚えていない場合が多いです。そのため、帰宅後に犬を叱ったとしても、何で怒られているのかがわからないことが多いです。

食事のしつけ

食事のしつけは、愛犬の体重管理や誤飲予防などに対して非常に有効です。 食事のしつけをすることで、人の食べ物を欲しがらなくなったり、散歩中や家の中での拾い食いを防いだりすることができます。 また、食事以外でも飼い主の指示をきちんと聞ける犬になります。

食事のしつけのポイントは以下の2つです。

それぞれ詳しく解説していきます。

「待て」を教える

まずは食事を用意し、犬から離れた場所に置いておきます。犬がすぐに食べようとした際はリードやケージなどを使って、すぐには食べられないようにしましょう。
その状態で「待て」と繰り返し言い、犬が食べようとする行動を一瞬でもやめたらそのタイミングで食事を与え、褒めてあげましょう。 「待て」と指示している間は、絶対に食事を与えないようにすることが大切です。

「よし」を教える

「待て」を覚えたら次は「よし」を覚えさせましょう。「よし」と指示する前には絶対に食事をさせないように徹底し、「待て」と「よし」を指示通りにできたら、精一杯褒めてあげましょう。
食事の時にできるようになったら、おやつを与える時にもトレーニングをすることで定着が早くなります。

噛み癖のしつけ

犬の噛み癖は多くの方が悩んでいる問題の1つでしょう。 噛み癖をそのままにしておくと、人や他の犬を噛んでしまいトラブルになることもあります。子犬の時期にしっかりとしつけておくことが極めて重要です。
犬の噛み癖は甘噛みと本気噛みの2種類があり、対処方法が異なります。それぞれの噛み癖のしつけ方法について見ていきましょう。

甘噛み

犬が甘噛みをしてくる理由は、飼い主と遊びたいという犬からのメッセージや、本能・習性によるものだと考えられます。
特に子犬の甘噛みには、噛むつくことでアゴの筋肉をつけたり、脳を刺激したりする意味があります。それ故に、子犬の甘噛みの回数は自然と多くなります。また、歯の生え替わりで歯がむずがゆくて甘噛みをしてしまうことも多いです。
甘噛みのしつけ方法としては、飼い主が噛まれた際に過度に反応しないことが重要です。犬に噛まれた際に飼い主が反応してしまうと、犬は人間を噛めば自分にかまってもらえると認識するようになり、噛み癖がついてしまいます。 犬の甘噛みに我慢できない場合は、グローブ等をはめるのも良い方法かもしれません。
特に子犬の歯は細く、噛まれた人や動物はケガをすることもあります。子犬だからといって侮らずに、しっかりと対策をしましょう。

本気噛み

犬が本気噛みをしてくる理由は、甘噛みと同様に自分にかまってほしいという欲求以外に、身体疾患や脳機能の問題を抱えている可能性も考えられます。 最初に嚙みついた時点では、どこかに疾患があるのか、あるいは性格等の問題なのか判断できないため、まずは獣医師に相談してみましょう。
犬の健康状態などに問題がないとわかった場合は、本格的にしつけを行っていきましょう。 本気噛みのしつけをする際は、ひらひら動くスカートやカーテン、目の前で動くおもちゃなどの、犬が噛むきっかけとなる刺激を取り除いたり、犬がよく噛む物に苦味スプレーを塗布したりなどの、工夫することが重要です。
このとき、できるだけ獣医師などの専門家の意見を取り入れ、少しずつ行っていくことをおすすめします。 それでも、噛み癖が直らない場合は、飼い主が危険と感じたらハウスに入れたり、リードを付けたりすることも検討しましょう。

吠え癖のしつけ

一般的に「無駄吠え」といいますが、犬の行動には全て理由があり、無駄な吠えは1つも無いと考えましょう。 愛犬が吠える理由を可能な限り見極めて、理由別に対処していくことが吠え癖を直す一番の近道でしょう。

吠え癖は主に4つあるとされています。

それぞれ対処法を解説していきます。

要求・自己主張の吠え

要求・自己主張が理由で吠えている場合、犬の要求にすぐ応えることは避けましょう。 まずは「おすわり」や「伏せ」など、飼い主側が犬に指示を出します。その指示に応えることができたら、ご褒美として犬の要求に応えてあげましょう。 そうすると、犬側も次第に「吠えると主張が通る」という考えから、「飼い主の指示に応えたら主張が通る」という考えに切り替わっていきます。

不安・寂しさの吠え

犬が吠える理由としては、飼い主と距離が離れることによる不安や寂しさということも十分に考えられます。 この場合は、吠えない程度に犬から離れては、犬のもとに戻って褒めるということを繰り返し、飼い主が離れても絶対に戻ってくるという安心感を持たせるようにしましょう。
「行ってくるからね」「ただいま」という言葉に反応し、不安を覚える犬も多くいます。留守番の時には、できるだけ声掛けを行わない、お出かけのルーティーンを作らないなど、飼い主側の工夫も大切です。 犬が吠えなくなってきたら少しずつ距離や時間を延ばしていくのが良いでしょう。
飼い主が家を離れる際に、おもちゃを与える方法も有効です。 この時に噛みちぎりやすいおもちゃや、紐状のおもちゃは事故を招く可能性があるので、与えないようにしましょう。
また、飼い主の不在時に体調が悪くなる、長時間吠えている場合は、分離不安症による吠えである可能性があります。この場合は、獣医師に相談をするといいでしょう。

警戒や縄張りを意識した吠え

犬は警戒心や縄張り意識が強く、飼い主の様子がいつもと違う場合に吠えることがあります。 この場合、犬が吠えても飼い主が慌てたり騒いだりしないのが大事です。
飼い主の落ち着いた行動が犬を安心させるため、飼い主がまず落ち着くということを特に意識するようにしましょう。

他の犬に対する吠え

おでかけした時に、他の犬に対して吠える理由は「怖がっている」か「遊びたがっている」かの2つです。
怖がって吠えてしまう犬は社会性が不十分であると考えられます。社会性が身につくまでは、無理に他の犬に近づけず、少しづつ慣らしていくようにしましょう。
遊びたがって吠えている場合は、犬の興奮が治まるまで待ちましょう。落ち着いたらご褒美をあげ、相手の犬に挨拶をさせるとよいでしょう。

犬のしつけでやってはいけないこと

犬のしつけをする際に、良いと思ってやってしまっていることでも、実は犬に誤解を与えてしまう行動や声がけなどがあります。
誤解を与えるような行動をとってしまうと、犬の脳内での条件付けがうまくいかず、良くない癖がついてしまったり、信頼関係に傷がついてしまったりします。 そのようなことにならないためにも、絶対にやってはいけないことをあらかじめ知っておくことはとても重要です。

やってはいけないことは主に下記の3つです。

それぞれ解説していきます。

叱るときに名前を呼ぶ

犬を叱ろうとしてついつい名前を呼んでしまうこともあるかと思いますが、これは良くありません。
名前を呼びながら叱ると、犬は「名前を呼ばれると嫌なことが起きる」と学習してしまいます。 そのように学習してしまうと、名前を呼んだだけで恐怖心を抱き、逃げてしまうようになることもあります。
こうなってしまうと、その後のしつけや生活に大きな支障をきたしてしまいます。そのため、名前を呼んで叱るのは絶対にやめましょう。

強い恐怖心を与える

体罰や大きな音を立てるなどにより、犬に強い恐怖心を与えることはやめましょう。犬は強い恐怖を感じると、身を守ろうと吠えたり噛みついたりしてしまいます。 これが繰り返されると噛み癖や吠え癖につながったり、飼い主を見ただけで逃げたりするようになってしまうのです。
また、マズルコントロールという犬の目元から鼻先・口の部分を掴んだり、覆ったりするしつけの方法もありますが、こちらも犬に恐怖や苦痛を与えるしつけになるため、望ましくないとされています。 不安な場合は、獣医師やプロのドッグトレーナーに相談しましょう。
一度傷ついた信頼関係の修復は大変困難です。しつけを行う際は注意が必要です。

後から叱る

犬は長期記憶が人間ほど得意ではないため、時間が経った後から叱られても、なにで叱られているのかを理解することができません。そのため、後から叱ってもただ恐怖や不快感を与えるだけになってしまいます。
また、最近の動物行動学および獣医学では、叱ること自体が犬のしつけをする上で不要であり、犬に対してメリットよりもデメリットのほうが大きいと考えられています。
こうした観点からも叱るのではなく、褒めてしつけることを中心に考えるのがいいでしょう。

犬のしつけに関して正しい知識を身につけよう

この記事では犬のしつけについて解説しました。
犬のしつけで大切なポイントは、犬に対して思いやりの気持ちを持って接することです。犬を怒鳴ったり、正しい行動をした際に十分に褒めないといった行動は避けるようにしましょう。
犬にも個体差はあり、ここで解説した方法ではうまくいかない場合もあります。その際にはドッグトレーナーや獣医師に相談することも検討しましょう。

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この記事の監修者

志村みゆきさん

志村みゆきさん

獣医師。日本獣医生命科学大学獣医畜産学部獣医学科を卒業後、獣医療、営業、編集者、研究助手、専業主婦などを経て、現在、医大の研究室にて動物実験や生化学実験業務に従事。

志村みゆきさん

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